基礎研究

BASIC RESEARCH

当麻酔学教室は、広々とした独自の研究スペースを有しており、基礎研究も活発に行なっています。研究領域は、麻酔学のみならず、痛みや集中治療医学など多岐に及びます。核酸・タンパク質の定量解析をはじめとした分子生物学・免疫組織学的手法からマウスの行動解析に至るまで多彩な実験が行われています。医局員及び博士課程大学院生を中心に、様々な挑戦的な課題に取り組み、医学の発展に日々励んでいます。

周術期アナフィラキシーの機序の探究
(慶應義塾大学医学部皮膚科学教室との共同研究)

周術期アナフィラキシーは、全身麻酔5000例に1例で発症する重篤な合併症です。全身麻酔中は様々な薬剤を用いますが、事前にアナフィラキシー発症を予想できる簡便な検査方法は存在しません。
当研究室ではマウスを用いた周術期アナフィラキシーモデルを作成しています。動物を使ったウェットな手技から、敷地内の最先端機器を用いた厳密なデータ解析までを駆使して病態解明に挑み、臨床現場の安全に直結する新たな診断・治療方法の開発を目指しています。

痛み慢性化の機序の探究

痛みは危険を知らせる不可欠な感覚ですが、原因除去後も持続し慢性痛化することがあります。成人の25%が患う慢性痛や術後痛の遷延化は、機序が不明で有効な治療法が未確立な現代の国民病です。この慢性化には、神経細胞やグリア細胞の炎症反応(感作機構)が深く関与しています。
当研究室では様々なマウスモデルを用い、免疫組織学的・生化学的手法を駆使してこの感作機構の因子を解析しています。痛みの慢性化を突き止め、新たな予防・治療法の確立を目指しています。

末梢神経損傷後の神経再生における新生血管の役割の探究
(慶應義塾大学医学部解剖学教室との共同研究)

末梢神経損傷からの再生は、損傷部位への血管伸長を含む複雑なプロセスで成り立っています。我々は神経の再生プロセスにおける血管新生の様子を可視化しました。そして、単一細胞RNAシーケンスにより新生血管の血管内皮細胞から分泌される、神経再生に重要と思われるタンパク質の候補を洗い出しました。さらに、血管内皮特異的に候補遺伝子をノックアウトしたマウスを作成することにより、同因子を特定することを目指しています。将来的には、神経再生のための新規治療法の開発につなげていきたいと考えています。

植物モデルによる麻酔薬作用機序の探索
(北見工業大学との共同研究)

日々の臨床で欠かせない麻酔ですが、実はなぜ麻酔薬で人が意識を失うのかという根本的な仕組みはまだ完全には解明されていません。オジギソウやハエトリソウなどの植物は刺激に反応して葉を閉じる性質を持ちますが、ヒトに使用するのと同じ濃度の麻酔薬によって、この運動が抑制されます。この現象に着目し、生命に共通する麻酔の本質的な作用を解き明かすことを目指しています。

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