2023年 日本麻酔科学会参加報告
日本麻酔科学会 第70回学術集会
開催日:2023年6月1日〜3日
開催地:神戸ポートピアホテル(兵庫)
6月1日から3日にかけて、神戸ポートピアホテルで開催された日本麻酔科学会 第70回学術集会に参加してきました。わたしは麻酔科専攻医の1年目として、これからの麻酔をより良いものにすべく、1つでも多くの知見を得たいという心持ちで、現地に足を運びました。COVID-19の影響はほとんど感じられず、上級医の先生方が以前の活気が会場に戻ってきていると仰っていたとおり、全国の麻酔科医が集まる光景は、活気に溢れており圧巻でした。
慶應大学病院からは小杉志都子先生がシンポジウムで集学的痛みセンターの活動を発表されており、また河手森彦先生が慢性痛患者の脳の構造変化についてポスター発表されました。将来わたしも大勢の麻酔科医の前で、そつなく有益な発表をすることができるよう、様々な面で精進しようと意欲が湧きました。
他にも会場には気になる発表がたくさんありましたが、優秀演題に選ばれていた筋電図モニタリング(TOFモニター)の刺激電極貼付位置による測定精度の違いを前向き観察した発表は、これまで何も考えずに見本通り貼っていた方法を少し変えるだけで精度に差があることを知り、研究にできる題材がいかに身近にあるかを思い知ると共に、まだ麻酔科医として経験の浅いわたしでも、明日からすぐ実践できるもので興味を惹かれました。
機器展示場では、私たちが普段使用している機器の最新モデルや、より使いやすく改良されたもの、新しい術中モニターの指標となる機器などを実際に触れることができました。分離肺換気の症例を担当することが多いため、軽くて画質の良い気管支鏡を羨ましく思ったり、麻酔中の患者さんが感じる疼痛の程度を可視化するモニターには興味を惹かれたりしました。また普段、書店ではなかなか見ることができない麻酔関連の書籍も一同に並べられて販売が行われており、様々な書籍を見比べながら、これからの手助けになりそうな本を購入できました。
学会会場から一駅移動した場所にある麻酔博物館では、華岡青洲の時代から現在までの麻酔の変遷を見ることができ、また昔の麻酔器が展示されていて、技術の進歩に感心するとともに、現在わたしたちが様々なデバイスを使用しながら麻酔ができることに感謝の念を抱きました。もちろん現地でしか貰えない、限定キティちゃんキーホルダーもしっかりゲットしました。
残念ながら学会期間中の神戸は梅雨期間中の大雨続きで、神戸の街をゆっくり散策することは叶いませんでしたが、次回に参加するときには更なる知識を求めながら、街並みを見渡す余裕を持てるよう、今後も麻酔科医として頑張っていこうと改めて思い直せる3日間になりました。
脇坂 聖玲